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ええやん! 枚方

圧巻! 「貝」画の東海道

2017/12/22

概要

★枚方・茄子作で貝細工制作をしていた水田家は真珠ブランド「ミキモト」創業者・御木本幸吉との関わりが深く、大正11年の内国勧業博覧会に出品した「御木本五重塔」の制作を水田さんの祖父・彌吉氏に依頼したことに始まる。好評だった御木本五重塔は4年後のフィラデルフィア万博にも出品。ミキモトパールの名を世界に広めるきっかけとなった。
★昭和12年生まれの水田さんは、15歳で貝細工制作に従事し、以後、貝工芸の創作活動を始めるようになる。養殖真珠誕生100年を記念した工芸作品「夢殿」(平成5年)や、正倉院宝物「螺鈿紫檀五絃琵琶」を真珠加工の技術で再現した「真珠宝飾五絃琵琶」の制作に携わるなど、その卓越した技術を広く知らしめた。平成21年に大阪府知事表彰。
★水田さんは地元・枚方の文化芸術発展にも大きく寄与した。昭和39年、枚方市内の工芸家が集う「枚方工芸会」結成に参加。60年からは会長を務め、年1回開催される枚方工芸展での新作発表のほか公募作品の審査にも携わり、後進の指導・育成にも力を入れた。
★今回展示している作品は、広重の浮世絵「東海道五十三次」55点に、東海道の延長だった枚方宿を含む伏見~大坂・京橋の5点を加えた60点。宿場の町並みや街道を囲む木々、山や川、そこに暮らす人々の姿までが精密な加工で作り上げられている。
★水田さんが使用する貝は、真珠の養殖で知られる白蝶貝や黒蝶貝のほか、鮑、夜光貝、ミシシッピ川産ドブ貝など。天然の色合いや輝きを生かすため、貝の特性を熟知した上で、自宅の工房にあるさまざまな機械を駆使しながら細工を施している。
★例えば、「江戸・日本橋」で魚を担ぐ威勢のいい魚商の肌はドブ貝、「神奈川・台之景」では建物の間にある黄色い木は黄色がかった黒蝶貝を使用している。また、「三島・朝霧」ではぼやけた色の貝殻を極限まで薄く削り、朝霧の雰囲気を見事に出している。
★一枚の貝殻から削り出されているパーツも多い。「由井・薩埵嶺」の海越しに見える富士山や「丸子・名物茶店」の藁葺き屋根、「見附・天竜川」の白い渡し船のほか、「岡崎・矢矧之橋」で画面の両端を跨ぐ大きな橋の欄干は、一枚の貝殻から削り出す限界の大きさ。「宮・熱田神事」で走る馬をつなぐ綱にいたっては、一枚の貝殻から削り出されたとはとても思えない、驚くべき精密さである。
★また、「関・本陣早立」で描かれている家紋は水田家のもの。これは、広重の浮世絵では広重自身の家紋を入れていたことを真似たユーモアで、伝統的な貝細工にとらわれない水田さんの人柄を思わせるエピソードである。
★広重の絵にはない伏見・淀・枚方・守口・京橋の5点は、水田さんのオリジナル。五十三次全てを制作した後、自ら宿場があった場所へ出向き、イメージを膨らませて構図から考えた。枚方宿が雪景色なのは、広重の五十三次には雪景色が少なかったからとのこと。
★最後の「大坂・京橋」は、病床にあった水田さんがベッドで構想を考えたという作品。美しい桜の花びらを作るのに2年近い歳月を費やし、平成28年に完成。60作品全ての完成に14年かかった超大作である。
★展覧会ではこのほか、水田さんが制作した「真珠宝飾五絃琵琶」の展示や、水田さんの仕事ぶりを紹介するビデオ上映もある。また、地元・茄子作の自治会報に掲載した絵や、19歳~22歳頃に描いたペン画の展示もあり、貝工芸にとどまらない水田さんの優れた美術センスを垣間見ることができる。
★寝屋川市から訪れたという80代の夫婦は「近くで見ると仕事の繊細さに驚く。人の表情まで見事に捉えられていて本当にすごい。これまでの貝細工のイメージとはまったく違う。天才だと思う。14年かけて作られたということにも元気をもらいました」と絶賛していた。
★会場を訪れた水田さんの妻、良子さん(77歳)は、「この場に主人がいないのがとても残念ですが、皆さんが一生懸命見てくださって、うれしいの一言です。これが天然の貝殻で作られている、ということに注目していただければ」と感慨深く話した。


制作に使う貝殻の展示も
制作に使う貝殻の展示も
19歳~22歳のころに描いたペン画
19歳~22歳のころに描いたペン画

お問い合わせ

産業文化部 文化生涯学習推進室(担当:岡本)
TEL:072-841-1409
FAX:072-841-1278


詳しくは 北大阪商工会議所 まいぷれ事務局まで
電話 072-841-0104
mypl@kitaosaka-cci.go.jp