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湯を沸かすほどの熱い愛

10月29日(土)新宿バルト9他全国ロードショー<br>(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
10月29日(土)新宿バルト9他全国ロードショー
(C)2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会
湯を沸かすほどの熱い愛

出演:宮沢りえ  杉咲花  篠原ゆき子 駿河太郎 伊東蒼 /松坂桃李 /オダギリジョー
脚本・監督:中野量太

ストーリー

「死にゆく母と、残される家族が紡ぎだす愛」と、想像できない展開とラストに涙と生きる力がほとばしる家族の愛の物語。

銭湯「幸の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔 し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め、実行していく。

1.家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる。
2.気が優しすぎる娘を独り立ちさせる。
3.娘をある人に会わせる。

その母の行動は、家族の秘密のすべてを明らかにすることになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。そして家族は、究極の愛を込めて母を葬ることを決意する。

記者の見どころ

キャストが素晴らしい。余命2か月と宣告されても、なお家族のために最後まで生きぬく強くて熱い愛のかたまりのような母親の双葉を演じた宮沢りえは、この脚本を読んだときに心が沸き上がるのを感じてすぐにこの役を引き受けたそうだ。細くて、繊細で、今にも折れそうな美しさと同時に強さとたくましさが共存する彼女の演技は実に素晴らしかった。その母親に正面からぶつかっていく娘の安澄役に杉咲花。いじめにあって引きこもりになりそうな弱い心が、母との交流の中で少しずつたくましくなっていく娘の心情を18歳のみずみずしい感性そのままに演じていた。そして、勝手に家出して好き放題に生きるちょっとありえないぐらいのダメ親父を演じたオダギリ・ジョーが非常に良い味を出していた。テーマ的にどうしても暗くなりがちな場面が、彼がいるだけでユーモラスでホッとする雰囲気を与えてくれることに何度も救われた。

ともかく、ストーリーがよく練られているので、先の読めない展開にぐんぐん引き込まれていく。最初にちりばめられた伏線が最後にすべてつながっていく手法はさすが。特に衝撃のラストは賛否両論あると思うが、このタイトルとなぜ舞台に銭湯が選ばれたのかが腑に落ちるだろう。

どこまでも深い母の愛にどっぷり浸かって、まるで銭湯に浸っているような暖かさを感じた。見にいかれる方は笑いと涙が交互にやって来るのでハンカチ必須!この秋一番のオススメです。

Text by YUMI