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枚方の地域情報サイト「まいぷれ」枚方市

あふれる魅力再発見

穂谷、都市近郊の里として受け継がれる文化・伝統

2009/11/21

まいぷれ枚方市版では、枚方にたくさんある文化・歴史・人などの地域資源を紹介し、『魅力ある町・枚方』、行ってみたい・住んでみたい・住んでて良かった、と感じていただけるよう、さまざまな情報を発信していきます。

美しき里山~穂谷~で生きる

今年一月、穂谷は応募総数4474件の中から見事「日本の里100選」に選ばれました。大阪府内においてこれに選出されたのは、穂谷と長谷(豊能郡)の2箇所だけです。自然と人間が共存しながら守られてきた美しい里。今回はそこで暮らす「穂谷ふれあい市グループ」の皆様にお集まり頂き、里山での暮らしの今と昔、地域に根付く伝統的な習慣や食べ物について貴重なお話を聞かせて頂きました。

JA北河内管内で開催されている朝市は40以上、小規模なものも含めると60ほどあるそうですが、その中でも穂谷の朝市の年間売上は飛び抜けて一番だと伺いました。
空気と水がきれいな土地で、できるだけ農薬を使わずに丹精込めて作られた新鮮な野菜を求めて、毎日多くの人々がふれあい市に訪れます。日曜日にはなんと朝5時半から並ぶ方もいるとのこと。そうまでしても買いたいと思わせる穂谷の野菜、まだ召し上がったことがないという方は一度足を運んでみられてはいかがでしょうか。

―穂谷の野菜はどこで手に入るの?

(1)ふれあい朝市

開催場所 : 三之宮神社横駐車場
開催日時 : 火曜・水曜・金曜・土曜 … 8時~正午(ミニ朝市)
        日曜 … 6時~正午
※売り切れ次第終了します。
朝市には季節ごとに旬の農産物がたくさん並び、安い価格で販売されます。
朝市には季節ごとに旬の農産物がたくさん並び、安い価格で販売されます。
冬季ももちろん、お鍋にぴったりのお野菜が並びますよ。
冬季ももちろん、お鍋にぴったりのお野菜が並びますよ。
地元ではすっかりおなじみ、人気です。
地元ではすっかりおなじみ、人気です。
(2)イズミヤ枚方店
日時:毎週火曜・第2第4土曜

>※「穂谷朝市」という幟が目印です!

旬の作物を昔ながらの食べ方で

穂谷では春夏秋冬、季節の恵みや豊穣を祝って祭りを行うそうです。都会に暮らす私たちは、祭りと言えば夏の縁日・盆踊り等を思い浮かべがちです。しかし豊かな自然に囲まれたここ穂谷の祭りでは、華やかな夜店が並ぶことはありません。その代わりその季節に採れる一番美味しいものを、一番美味しい形で、集落の人々皆で戴くのです。日本古来のアニミズム信仰が脈々と受け継がれ、四季の祭りとして穂谷の土地に深く根付いているように思います。

例えば、春祭りにはよもぎ団子を、夏のおんばらい(御祓い)祭りには「いばら団子」を作ります。柏の葉の代わりに、山に生えるいばらの葉でこし餡入りのお団子を包むのです。そして秋の収穫祭には「くるみもち」を。まず茹でた若い大豆(枝豆)の薄皮を剥き、ペースト状に潰します。そこに砂糖を混ぜ込んで作った餡を、つきたてのお餅に絡めて戴くのです。つまりこれは「クルミのお餅」ではなく、「枝豆餡でくるんだお餅」なのです。所謂「ずんだ餅」を想像して頂けるとわかりやすいでしょうか。
これで充分に美味しそうな茹でた若い枝豆。
これで充分に美味しそうな茹でた若い枝豆。
お砂糖を混ぜペースト状にして、お餅と絡めると出来上がり。
お砂糖を混ぜペースト状にして、お餅と絡めると出来上がり。
枝豆畑がたくさんあります。<br>枚方の特産品の黒豆誕生か!!
枝豆畑がたくさんあります。
枚方の特産品の黒豆誕生か!!
ぜひ穂谷の黒豆枝豆を使って、このお餅を作ってみて下さい。
黒豆は農家の方々が今最も力を入れている野菜の一つです。夏の夜温が24℃
以下に下がり、空気が対流するような土地でなければ、上質の黒豆を作るのは難しいとのこと。京都府丹波産の黒豆枝豆に勝るとも劣らない品質の枝豆を作るところまではほぼ成功したものの、それを黒豆として穂谷の特産物にするにはもう少し時間がかかるだろう、とおっしゃっていました。大阪から日本屈指の黒豆産地が誕生する日が楽しみです。

そしてもう一つ、秋の収穫祭に欠かせない代表的な食べ物として、鯖寿司があるとお聞きしました。海のない枚方の地でなぜ鯖寿司?と、少々不思議に思いましたが、「稲刈りで忙しい時期の保存食として作るようになったのがそもそもの由来ではないか」とのこと。丸々太って脂の乗った鯖を酢〆にしてシャリと共に竹皮で包み、それを押し型に詰めて重石をかけます。「子どもの頃はこれが最高のごちそうだった」とおっしゃっていました。竹皮は、1本の竹から1日に2枚だけ自然に剥離するといいます。しかし、よく晴れた日のものでなければ、せっかく採れた竹皮もカビてしまいます。又、鯖寿司を包むためには、真竹が落とすような長くて幅の広いものが必要です。自生する真竹が少なくなった上、新鮮な鯖が手に入りにくくなった現在では、御家庭で作られる方は減り、止むを得ず購入される場合もあるそうですが、それでもこの風習は今なお変わらず受け継がれています。
しっかりと竹皮に包まれて。<br>実は穂谷以外でも枚方の旧家では今も作られている食文化なのだそう。
しっかりと竹皮に包まれて。
実は穂谷以外でも枚方の旧家では今も作られている食文化なのだそう。
この鯖の肉厚!脂の乗った良い鯖が手に入るかが一番大切と、おっしゃってました。
この鯖の肉厚!脂の乗った良い鯖が手に入るかが一番大切と、おっしゃってました。

曲がっていたって味は最高

自然の恵みに感謝しながら、その季節にしか味わうことのできない農産物をシンプルな食べ方で頂く、これこそ最高の贅沢ではないでしょうか。
私たち消費者とはなかなか勝手なもので、農薬を使わない安全な野菜を求めつつ、結局は見栄えの良いものを選んでしまいがちです。スーパーなどに並ぶ規格統一された野菜に慣れてしまっているのでしょう。ですが、同じように作られた野菜。真っ直ぐな胡瓜も曲がった胡瓜も切ってしまえば同じで、味には何の違いもありません。強いて難点を挙げるとすれば、冷蔵庫に少々収めにくいことぐらいでしょうか。いえいえ、せっかくの新鮮な野菜です。冷蔵庫に眠らせず、ぜひ手に入れたその日に調理してみて下さい。市販品を購入することが当たり前になっているものでも、自分で作れば美味しさも倍増します。そして何より無添加です。穂谷の朝市には胡瓜だけでなく、いろいろや野菜が季節によって並びます。みかけではない野菜の価値を見つめてみると、ご家族みんなが安心して美味しく召し上がれるものが作れるのです。

スーパーではなかなか見かけない珍しい野菜も穂谷ではポピュラー野菜!

「そうめんかぼちゃ」あるいは「糸なんきん」、そんな野菜はご存じですか?最近ではメディアに取り上げられることが増えてきたため、名前だけは聞いたことがあるという方も多いかもしれません。けれどまだまだマイナーな野菜。シーズンにはもちろん穂谷の朝市でも売られています。茹でるとまさに「そうめん」のように糸状に果肉がほぐれるのです。お味の方はというと、さっぱりしていて癖がなく、大根のツマより少しやわらかい食感で、歯ごたえも良い。ちょっと不思議なこの「そうめんかぼちゃ」、ぜひ一度お試し下さい。
サツマイモ&枝豆の畑
サツマイモ&枝豆の畑
里の風景
里の風景
その他、近頃人気のある作物として、「薩摩芋のツル」を挙げられていました。え?薩摩芋のツル?一瞬聞き間違いかと思いましたが、どうやらこれを佃煮にすると大変美味しいらしいのです。しかし「薩摩芋それ自体を作ろうとしてできたツルは美味しくない。肥料を入れ過ぎて薩摩芋としては失敗してしまった時のツルが美味しい」とのこと。薩摩芋とそのツルどちらをとるか、実に悩ましいところですね。

美しい里 穂谷

穂谷は枚方の住宅街からすぐ近くであるにもかかわらず、自然環境や生物の多様性が保存されており、そこで暮らす人々の生活習慣など、ふるくからの枚方の姿をとどめている地域の一つです。穂谷の美しさ、人々の営み、守っていきたい地域資源ですね。


「にほんの里100選 すこやかで美しい里を未来へ」
主催:朝日新聞社/(財)森林文化協会
http://www.sato100.com/index.html
2009年、朝日新聞社と森林文化協会が主催された、「人々の暮らしによって育まれてきた、すこやかで美しい里を100カ所選ぶ「にほんの里100選」選定事業」です。
詳しくはホームページをご参照ください。

筆者 かなへー

はじめまして。
ちょっとしたきっかけで、まいぷれ枚方市版とご縁があり、この記事を担当させて頂くことになりました。
20代独身ですが、今のところ婚活はしていません。そのうち焦ることになるのかな…。

記事を通して、枚方の魅力を再発見してもらえれば何よりです。
とは言うものの、私もまだまだ知らないことばかり。
“枚方ビギナー”かなへー頑張ります!
皆様これからよろしくお願いいたします。